児童生徒の精神疾患予防のための援助要請と教員のメンタルヘルスリテラシー

児童生徒や教員が抱える心理的社会的問題

 児童生徒は日常的に悩みや不安を抱えることがあります。それらを解決しないまま放置してしまうと,うつ病,不安症などに発展しまう危険性が指摘されています。それ以外にも,発達障害傾向を抱える児童生徒もいれば,さまざまな問題に気づかれず理解されず,何も分からないまま苦しんでいる児童生徒もいます。
 そのような児童生徒に関わる教員も悩みを抱えています。特に児童生徒が困っている理由や,そのような児童生徒への対応の仕方が分からず困っている教員はたくさんいます。 これらの問題の解決方法として,私たちは2つの方向からの心理学的な支援方法を提案しています。1つは「児童生徒の援助要請」です。もう1つは教員が児童生徒の問題にいち早く気づきやすくなる方法として「教員のメンタルヘルスリテラシー」に関する支援方法を提案しています。

児童生徒の援助要請に関する支援方法

 児童生徒の中には問題を抱えて誰かに相談したいと思っても,誰にも相談しない人が大勢います。この「相談」は心理学では「援助要請」として研究されています。私たちは児童生徒が早い段階で相談できることで問題の重症化を予防することを目指し,「どんな人が援助要請をよくするか」,「援助要請することで,その人にどんな影響があるのか」を研究しています。

教員のメンタルヘルスリテラシーに関する支援方法

 児童生徒の問題に気づき対処するために「メンタルヘルスリテラシー」を高めることが近年注目されています。メンタルヘルスリテラシーとは,「メンタルヘルスに関する知識や態度」のことです。児童生徒のメンタルヘルスについて教員が正しい知識を持つことで,児童生徒も教員自身も楽になる可能性があります。私たちのプロジェクトでは,教員に対してメンタルヘルスリテラシーを高めるプログラムの開発と実施を目指しています。これは公認心理師の「心の健康教育」の一環としても捉えられ,公認心理師の資格を持った大学院生がプロジェクトリーダーとして取り組んでいます。

※プロジェクトの最新の成果については,下記のリンク先でご覧いただけます。
https://researchmap.jp/k.Takemori/

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