マインドフルペアレンティングを活用した親子支援

 公認心理師の活動する主要5領域 (医療・教育・福祉・産業・司法矯正) のいずれにおいても,育児支援の視点は重要です。子どもに向けた支援を行う上で養育者と接する機会は多いでしょうし,医療を受ける患者さんや産業労働者として支援を受ける対象者も,家庭に帰れば育児中の養育者の役割を担っている人が相当数存在するでしょう。本プロジェクトでは,育児という社会にとって不可欠な営みに対し,科学的根拠に基づいた支援方法の提案を目標として活動しています。
 今日の日本における育児環境は厳しいものであるとされています。母親が一人で子育てを担っている状況にあると言及されるほど (原, 2018),育児をする親,特に母親の孤立が社会問題とされています。一方で,子供を産み育てることは人生において大切な目標のひとつと考えられており (Kenrick, Griskevicius, Neuberg, & Schaller, 2010),育児は生活の満足度を高めたり,幸福感につながることも指摘されています (Nelson, Kushlev, English, Dunn & Lyubomirsky, 2012)。日本社会において,困難さを解消しつつその人らしい育児のあり方を支えることが求められています。
 本プロジェクトでは,養育者のマインドフルネスに関わる研究が中核となっています。マインドフルネスを育児に応用すること (マインドフル・ペアレンティング) によって,養育者は自身の感情や子供の言動に客観的に気づき,適切な対処が取りやすくなったり,現状を認められることによって子育てに対する肯定的な感情を感じることにもつながると考えられています。マインドフル・ペアレンティングの介入方法はいくつか種類がありますが,養育者の精神的健康の向上や親子関係の改善など,育児への有効性が報告されています。
 また,プロジェクトリーダーの水崎は,学部生の皆さんと一緒に養育者のみなさまやお子さまと直に触れ合い,地域支援を意識した活動を行っています。肌で感じた当事者のニーズを研究に落とし込むことができるのは,臨床心理学の醍醐味と考えるからです。

地域支援の実践:

  • 発達支援施設にて,養育者への集団介入プログラムを提供しています。
  • 発達障害児を持つ親の会主催のイベントへボランティア参加しています。

本プロジェクトに関する成果は,以下のリンクからご覧いただけます。
https://researchmap.jp/Y.mizusaki/

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