親子相互交流療法(PCIT)

自閉スペクトラム症(Autism spectrum disorder:ASD)とは

 ASDのある人は,人とのかかわりに困難を抱えていることが大きな特徴です。ASDのある人は人とかかわりたいのにうまくかかわれないという葛藤から,不安やうつといった内在化問題,暴言や暴力といった外在化問題を抱えてしまうことがあります。

ASDのある子どもの養育者について

 ASDのある子どもの養育者は,子どもとのかかわりについて困難感を抱えやすいとされています。このような困難感は養育者のメンタルヘルスの問題にもつながってしまうので,支援が必要とされているといえるでしょう。

親子相互交流療法(Parent Child Interaction Therapy:PCIT)とは

 PCITはEyberg 博士によって開発された心理療法で,問題行動を抱える子どもとその養育者に対する有効性が示されてきました(Kaminski et al. 2008)。PCITの大きな特徴は,
(1)アセスメントに基づいてPCITのその日の内容が決まること,(2)ライブコーチングを行うこと,です。

(1)アセスメントに基づく実施;養育者の方が困っている子どもへのかかわり方についての聞き取りと,養育者の子どもへのかかわりの観察によって,その日の目標が決まります。つまり養育者の方の困り感に合わせて,PCITで行うコーチングが決まります。

(2)ライブコーチング:養育者の子どもへのかかわりについて即時にフィードバックし,養育者にかかわり方を提案するといった内容が含まれています。具体的な手続きとしては,イヤホンをつけた養育者と子どもが遊んでいる場面をセラピストが別室で観察し,セラピストが別室からイヤホンを通してコーチングを行います。

ASDのある子どもとその養育者に対するPCIT

 PCITをASDのある子どもとその養育者に実施するという試みが行われてきました(たとえばFurukawa et al. 2018)。ですが実施数は少なく,今後我が国においても実施数を増やし効果を検証することが望まれている分野でもあります。

地域のみなさまへ

 佐藤寛研究室では関西学院大学心理科学実践センター(西宮ガーデンズゲート館10F)で自閉スペクトラム症のある子どもとその養育者の方を対象にPCITを実施していく予定です。ご興味のある方は担当者(金山:pcit.hsatolab@gmail.com)までご連絡ください。

本プロジェクトに関心のある学生の方へ

 PCITは行動理論,愛着理論,社会的学習理論といった心理学の歴史においても重要な理論に基づく心理療法です。またアセスメントに基づくPCITの実施のために,行動観察を重視しています。本プロジェクトでは以下のような学生を募集しています。

*PCITについて理解を深めたい
*自閉スペクトラム症のある子どもとその養育者の方への支援に関心がある
*行動観察の手法について学びたい

問い合わせは〇 までお願いします。

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