アスリートの月経前不快気分障害(PMDD)

アスリートと月経前不快気分障害(PMDD)

 月経前不快気分障害(PMDD)は,月経前の「イライラ・憂鬱・下腹部痛」といった不快な精神症状や身体症状を特徴とし,女性のQOLを著しく損なう精神疾患です。女性アスリートにおいては,一般女性よりもPMDDの有病率が高いことが知られています。また,日常生活のみならず,パフォーマンスにも支障を来すことから,早急な対応が求められています。現在,PMDDの治療においては,第一に薬物治療が優先されますが,パフォーマンスの低下やドーピングの恐れから薬への抵抗感を示すアスリートは少なくありません。そこで,薬物に代わる治療が必要とされており,今後の研究が求められています。

マインドフルネスと月経前不快気分障害(PMDD)との関連

 現在,PMDDに対する治療法として,マインドフルネス・アプローチが注目されています。マインドフルネスとは,今この瞬間に注意を向けることで現れる気づきのことであり,精神症状及び身体症状の改善に有効であると指摘されています。マインドフルネス・アプローチを実際に用いたこれまでの研究では,マインドフルネスが高まることでPMDD症状が軽減する可能性が示されています。しかし,これまでの研究では一般女性を対象としており,女性アスリートを対象にした研究はほとんど見られないのが現状です。そこで本プロジェクトでは,女性アスリートに焦点を当て,マインドフルネスがどのようなメカニズムでPMDDを軽減するのかを研究しています。

本プロジェクトが目指すもの

 女性アスリートは,アスリートとしても女性としても様々なストレスを抱えており,心身の健康の維持が非常に難しい環境にあります。本プロジェクトでは,特に月経に焦点を当て, マインドフルネスや認知行動療法を始めとする心理療法を活用することにより,パフォーマンスの向上はもちろんのこと,アスリートの心身の健康維持・増進を図りたいと考えています。女性アスリートが月経による困難を乗り越えながらもスポーツを続けることを可能にし,QOLの向上に繋がっていくことを願っています。

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